研究内容- RESEARCH -

脳機能発達メカニズムの解明

 私たちの脳は精巧かつ秩序立ったプロセスを経て発達します(図1)。これらの緻密で複雑なプロセスにより機能的な神経回路が形成され、私たちの普段の生活に必要な認知・学習・社会性行動等といった高度な脳機能・情報処理が可能となります。
 これまでの研究により脳の発達は主に遺伝子発現プログラムによって制御されることがわかってきています。しかしながら、脳の発達や機能を司る遺伝子発現プログラムやそれにより誘導される細胞プロセス機序はまだまだわかっていないことが多く存在します。
 私たちの研究グループは、脳発達や機能を制御する遺伝子発現プログラムを研究し、その仕組みを明らかにすることにより、脳の発達や機能の基盤となるメカニズムの解明を目指して研究に取り組んでいます(Tsujimura et al., Cell Rep 2015; Nakashima, Tsujimura(責任著者) et al., Cell Rep 2021; Irie, Tsujimura(責任著者) et al., J Biochem 2016; Nakashiam, Tsujimura(責任著者) et al., J Neurosci 2018等)。これまで実験動物(マウス)を用いて研究を行ってきましたが、最近では、iPS細胞やMRI等を用いることにより、ヒトの脳発達に関する研究も推進しています(Akaba et al., Front Neurosci 2022等)。

図1:ヒト大脳皮質発達における細胞イベントと時間軸

プロジェクト例

日本学術振興会(JSPS)・科学研究費補助金・基盤研究C「非翻訳RNAによる脳機能発達メカニズムの統合的理解」代表: 辻村啓太

疾患病態メカニズムの解明

 発達障害を中心とした脳の発達の変容によって引き起こされる疾患の原因メカニズムの研究をしています。私たちはこれまでに重篤な神経発達障害であるレット症候群の病態にノンコーディングRNAの一種・マイクロRNA(miRNA)が寄与することを明らかにしてきました(Tsujimura et al., Cell Rep 2015; Nakashima, Tsujimura(責任著者) et al., Cell Rep 2021)(図2)。これらの知見を基にさらなる病態メカニズムの解明を進めています。また、私たちは統合失調症や特定遺伝子変異により発症する発達障害の病態メカニズムの一端も明らかにしてきました(Irie, Tsujimura(責任著者) et al., J Biochem 2016; Nakashiam, Tsujimura(責任著者) et al., J Neurosci 2018)。現在、MECP2重複症候群をはじめとする他の疾患についても研究を展開しています。これまで疾患モデルマウスを用いて研究を行ってきましたが、最近では、iPS細胞やMRI等を用いることにより、臨床との融合研究も実施しています(Akaba et al., Front Neurosci 2022等; 特願2022-070553 レット症候群を検査する方法及びレット症候群の治療効果を評価する方法)。

図2: レット症候群病態におけるノンコーディングRNA経路異常

プロジェクト例

日本医療研究開発機構(AMED)・難治性疾患実用化研究事業・若手研究代表者による希少難治性疾患の病態の分子基盤に関する独創的な研究「MECP2遺伝子変異に起因する脳発達障害における分子シグナル病態の解明と新規診断・治療法の基盤開発」代表: 辻村啓太

疾患の治療法・診断法等の開発

上述の正常な脳発達および疾患病態の研究から得られた知見を基に、疾患の治療法や診断法等の開発を推進しています(例: 特願2022-070553 レット症候群を検査する方法及びレット症候群の治療効果を評価する方法)。

プロジェクト例

日本医療研究開発機構(AMED)・難治性疾患実用化研究事業・若手研究代表者による希少難治性疾患の病態の分子基盤に関する独創的な研究「MECP2遺伝子変異に起因する脳発達障害における分子シグナル病態の解明と新規診断・治療法の基盤開発」代表: 辻村啓太

プロジェクト例

日本医療研究開発機構(AMED)・難治性疾患実用化研究事業・希少難治性疾患に対する画期的な医薬品の実用化に関する研究分野「microRNA病態に基づいたレット症候群の治療薬開発」代表: 辻村啓太

プロジェクト例

日本医療研究開発機構(AMED)・創薬総合支援事業・創薬ブースター(DNW-21014)「発達障害に対する新規治療薬の検証」代表: 辻村啓太